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夜もとっぷりとふけ、時刻は深夜0時をとっくに過ぎていた。
白い蛍光灯が点るキッチンのシンクの中、私は自分が汚してしまった慎吾さんの衣服の汚れを取るために、水を張っては揉み洗いをするのを何度も繰り返している。表面上は綺麗に見えても、きっと目には見えないミクロなあれやこれが残っているのかと思うと、手洗いだけで終わらせるのはちょっと心苦しい。 「……、っと、こんなもんで大丈夫かな」 『洗濯してしまうと、せっかくいい感じに仕上がってきてる、リィーバイス501が台無しになる』なんて、みんなの蔑む視線をもろともせず、慎吾さんは自慢げに語っていた。なのに、まさか私の失態のせいでもうそんな自慢話が出来なくなってしまうとは、これっぽっちも思っていなかったんじゃなかろうか。加害者の私ですらこんな事になるなんて、予想もつかなかったのだから。 「……最悪」 慎吾さんのお気に入りのジーンズを軽く絞って水気を取ると、雫が垂れて部屋を水浸しにしないよう手近にあったお鍋でガードしながら、慎吾さんの着衣を脱衣所に持って行った。 そのまま洗濯機に放り込み、スイッチに伸ばした手を一瞬躊躇う。ダイエット薬 ……慎吾さん、ごめんなさい! 心の中でもう一度謝罪の言葉を述べてからピッとボタンを押すと、すぐに洗濯層はぐるぐると回り始めた。 額に薄っすらと浮んだ汗を手の甲で拭い洗濯層の中をじっと見つめていると、私の視界はすぐに焦点があわなくなった。 『――こいつの背負ってる過去。それごと全部、お前一人で背負いきれるだけの覚悟があるのかって聞いてんの』 何度も何度も小田桐の言葉が連呼する。 自分が眠ってしまっている間に、一体どういった会話が慎吾さんと小田桐の間でなされ、そして、彼は一体どういうつもりでそんな事を口走ったのかもさっぱりわからなかった。 慎吾さんが私の過去を背負うなんて、何をどう聞いたらそんな風に解釈できるのかは不明だ。しかし、小田桐から発せられたその言葉の中には、未だに私の事を気遣う‘優しさ’が込められていると言うことに、ただ、ただ、驚いてしまった。 最後に会ったあの日、ずっと仲のいい友達だと思ってきたのが、自分が居ない所ではあんな風に陰口を叩かれていたのだと言う事を知り、あの時、私はショックと怒りで身体が小刻みに震えた。小田桐の事を信頼していただけに、裏切られて受けたショックは大きい。だから、私はあの日以来小田桐をうらみ続け、挙げ句の果てには記憶から抹消したと言うのに、小田桐はまだ私の事を覚えているどころか、気遣おうとまでしてくれている。――あれほど、店で嫌がらせをした私を。痩身一号
映画が終わり、エンドロールが流れ始めても、彼女はまだ画面に釘付けになっている。
彼は、彼女の横顔を見ながら、映画が終わった時、彼女が彼の方を向いたらそれを合図にある事を実行しようと考えていた事があった。 いつもより少し早く音を立てる胸の音が、否が応にも彼を煽り立てている。 緊張が最高潮にまで登りつめた時、画面が真っ暗になった事でエンドロールの終りを告げられ、そして、とうとうその時はやって来た。 大画面で見る映画の迫力にいつしか飲み込まれ、‘彼’が横に居る事も、‘彼’の部屋に居る事も忘れ、映画の世界に入り込んでしまっていた。 エンドロールが終わってその事に気付くと、映画の余韻に浸ったまま、隣に座る彼に目を向ける。 「・・・?」 彼女の目の高さまで上げられた彼の両手は、何かを掬うような形を作って手のひらを上に向けている。 キョトンとしている彼女を見て、なんだか嬉しそうな表情の彼は、広げた手の平をもう一方の手でくるりと覆う。再度両方の手の平を上に向けるようにして見せると、彼のその大きな手の中に、金色のリボンがかかった黒い小さな箱が突如現れた。 「・・・わあ!凄い!」 みるみる明るくなる彼女の表情を見ると、彼はとても満足している様子である。 「どうやったの?ねぇ?」 突然見せられた手品に興奮したのか、いつもは敬語で話している彼女が、思わずタメ口になっているのにも気付かず、彼の手を上から見たり下を覗き込んだりして、どうやってやったのか必死で暴こうとしている。すると、頭上からはぁーっと大きな溜息と共に、なんだか切なそうな声が聞こえてきた。SPANISCHE FLIEGE |
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